ケーススタディ

Googleで無名のサイトが、立ち上げ1ヶ月で流入10倍になった。Bingとアプリ経由の全データを公開する

先に結論

当社が運営する占いメディア「VEIL」は、Google検索ではほぼ存在していません。Ahrefsで見るとドメインレーティングは3.1、Google経由の自然流入は月に44。主要キーワードの順位は2ページ目より下です。

それが、リブランド(実質の立ち上げ直し)のあと、2026年5月に約2.5万セッション(アクティブ約2.1万)まで伸びました。3月は月900未満だったので、1〜2ヶ月で流入が10倍以上です。種を明かすと、**伸びの8割はBingとAI検索(ChatGPT・Copilot)**でした。Googleは1割もありません。

先に正直に書いておきます。これは「月2万を安定して取っているサイト」ではありません。 立ち上がりの1ヶ月でそこまで跳ねた、というだけ。続くのか、落ちるのかは、まだ分かりません。だからこの記事は、**自社の実データを毎月そのまま公開していく”ライブな実験ログ”**にします。きれいな成功譚ではなく、起きたことを数字で全部見せる。


この記事は「公開実験」です

まず、立ち上がりの推移を、隠さず置きます。すべてGA4とSearch Consoleの実測です。

総セッションAI検索経由Bing系経由
2026年2月2283122
2026年3月8922382
2026年4月9,0782076,391
2026年5月25,6222,03018,485

2月は月228の小さなサイトでした。それが3ヶ月後に2.5万。AI経由は「月に2〜3」から「2,030」へ、Bingは「数百」から「18,485」へ、同じ2ヶ月で一気に立ち上がっています。じわじわではなく、ある時点でスイッチが入りました(その立ち上がりの分析はAI流入はスイッチが入るに詳しく書いています)。

この表は、来月以降もここに追記していきます。伸び続けるのか、5月がピークだったのか。 実証メディアとして、都合の悪い数字も含めて公開します。


1. Googleでは月44。なのに5月は2万超

きっかけは矛盾でした。

Ahrefsは「このサイトの自然流入は月44、トラフィック価値11ドル、キーワード20語」と言う。GA4は「2万人来ている」と言う。桁が3つ違います。最初はGA4の計測ミスを疑いました。

違いました。Ahrefsが見ていなかっただけです。Ahrefsのような順位計測ツールは、基本的にGoogleの検索結果を観測しています。Bingの順位も、ChatGPTが何を引用しているかも、ほとんど映らない。だから「Google上の実力」は正しく44で、残りは最初から視界の外にありました(この乖離の構造はSEOツールに映らない流入へ)。

ツールの数字だけ見ていたら、このサイトは「ほぼ死んでいる」と判断して、とっくに閉じていたはずです。


2. 流入の正体 ── 8割がBingとAI

5月の参照元を、実数で並べます(2026年5月の主要ソース)。

流入ソースセッション比率
Bing系(bing+DuckDuckGo+Ecosia等)約20,200約78%
AI検索(ChatGPT・OpenAI・Copilot・Perplexity)約2,030約8%
Google約2,130約8%
Direct約740約3%
その他(Yahoo・SNS等)約800約3%
GA4実測 ── VEIL / masanosuke.net|流入ソース 2026年5月(セッション)
Bing系78%
AI検索8%
Google8%
Direct3%
その他3%
GA4実測(スクリーンショット) ── トラフィック獲得:セッションの参照元(過去28日)。bing が突き抜け、openai(ChatGPT)が google と肩を並べている
VEILのGA4トラフィック獲得レポートのスクリーンショット。参照元別セッションの推移グラフで、bingが最上位、openai(ChatGPT)とgoogleがそれに続いている

再現したグラフではなく、実際のGA4の画面です。bing の線が突き抜け、openai(ChatGPT)が google と並んでいるのが見て取れます。

DuckDuckGoもEcosiaも、検索の裏側はBingのインデックスを使っています。ChatGPTのブラウジングやCopilotも、参照元の多くがBing。Bingのインデックスを押さえると、その先のAI検索まで芋づる式についてくる。VEILはそこに入り込んでいました(AI検索の入口は実はBing)。

Bing側の数字も裏取りしました。Bing Webmaster Toolsの検索パフォーマンスは、直近3ヶ月で合計約4,500クリック・CTR 7.12%、日次クリックは期初の一桁から直近300超へ右肩上がり(Bingで伸びる問い)。


3. どのAIが、人を送ってきたか

「AI経由」と一括りにしましたが、中を割ると偏っていました。5月のAI流入の内訳です。

AIセッション占率
ChatGPT(OpenAI)1,967約92%
Microsoft Copilot179約8%
Perplexity20.1%未満
Gemini系10.1%未満

AI流入の9割超がChatGPT。話題のPerplexityやGeminiは、送客の数字ではほとんど顔を出しませんでした(理由と対策はどのAIが一番送ってくるか)。

しかも「AIが送る客は薄い」という思い込みも、実データでは外れました。参照元別のエンゲージメント率は、ChatGPT経由62.5%・回遊1.8ページで、Google経由(56.0%・1.5ページ)を上回っています。一番熱心に読んでいたのはBing経由(74.8%・3分超)でした。


4. AIが人を落としたのは、記事ではなくツールだった

AI経由の流入が、サイトのどのページに着地したか。これも予想を裏切りました。

トップは六星占術の計算ツールのページ1本で、AI流入の約44%。続くのも四柱推命の計算、動物占いの計算、「○年は何星人」の一問一答。読み物のコラムではなく、その場で答えが出るページばかりでした(AIが送るのは答えが出るページ)。AIは、問いを持った人を、答えのあるページへ運ぶ。だから計算ツールが拾われます。


5. なぜ立ち上がれたのか ── やったのは地味な3つ

派手な裏技はありません。やっていたのは3つだけです。

① AIクローラーを締め出していなかった。 robots.txtは、こうなっています。

User-agent: *
Allow: /
Disallow: /_astro/
Disallow: /pagefind/

# AI Crawlers
User-agent: GPTBot
Allow: /
User-agent: Google-Extended
Allow: /
User-agent: ClaudeBot
Allow: /

Sitemap: https://masanosuke.net/sitemap-index.xml

特別な記述はありません。ただAIのクローラーを通している。多くのサイトが「学習させたくない」とここを Disallow で弾くなか、扉を開けていただけです(robots.txtの実物とテンプレート)。

② HTMLに本文が最初から入っていた。 サイトはAstroの静的構成で、ページを開いた時点で文章がHTMLにある。JavaScriptが後から描画する作りだと、AIのクローラーは中身を読み損なう。読めないものは引用されません。

③ Bingにインデックスされていた。 これが78%の源泉。Googleの激戦区で消耗する代わりに、競争のゆるいBingで拾われ、その先のAIまで取れていました。

並べると、特別なことは何もありません。やってはいけないこと(AIを締め出す・JSで隠す・Bingを放置する)を、たまたまやっていなかった。それだけでこの立ち上がりが起きました。


6. 7項目で診断したら「効く順」が見えた

VEILを7つの観点で採点しました。AI検索に見つけられる条件を分解したものです。

観点VEILの状態効き目
AIクローラー受け入れGPTBot等を許可・Sitemapあり
レンダリングAstro静的でAIが読める
Bingインデックス流入78%=完璧
エンティティの明確さ運営者・編集部・SNS連携あり
抜き出しやすさ引用ガイドラインを設置
一次情報・専門性監修者+自動計算ツール多数
構造化データ・llms.txtトップで未実装

おもしろいのはここです。実際にAI流入を取れているVEILですら、構造化データとllms.txtは弱い。「AI対策といえば構造化データ」と語られがちですが、それが薄くても立ち上がりは成立しました(構造化データの本当の優先順位)。

効く順は、こうでした。

  1. まずAIクローラーを通す・HTMLを読めるようにする・Bingに載る(流入に直結)
  2. 次に、運営者を明示し、引用しやすい文章にし、自分にしか出せない情報を載せる
  3. 構造化データやllms.txtは、あるに越したことはないが最後でいい

7. 正直な話 ── 流入2万でも、稼げたのは月5,000円

集客の話と、お金の話は別です。ここも隠しません。

流入が5月に2万を超えても、AdSense収益は月5,089円、ページRPMは151円でした。占いはディスプレイ広告の単価が安いジャンルなので、流入の数字ほど現金は生みません。集客と換金は、別々に設計しないといけない流入は2万でも稼げたのは5,000円)。

これはECやサービス業にはむしろ追い風です。占いと違って、商品が売れる導線がもとからある。AI流入をそのまま売上に変えられます。


8. あなたのサイトで、今日できる3手

エンジニアがいなくても判断できます。

  1. robots.txtを開くGPTBot ClaudeBot PerplexityBot Google-ExtendedDisallow していないか。弾いていたら、AI検索への扉を閉めています
  2. 商品ページを「ソースを表示」する … HTMLに本文が入っているか。空に近いならJS描画で、AIに読まれていない可能性がある
  3. Bing Webmaster Toolsに登録する … 無料・10分。AI検索の入口はBing側にあります

順位を1つ上げるより、まず「AIに読まれる状態か」を整えるのが先です。手順の全体像はGEO完全リファレンスに。


今後の推移(このセクションは毎月更新します)

  • 2026年5月:総2.5万セッション(アクティブ2.1万)。AI 2,030/Bing系 18,485。立ち上がりの breakout 月。
  • 2026年6月以降:追記予定。伸びが続くか、5月がピークだったか、ここで公開します。

よくある質問

Q. 「月2万」は安定して取れている? いいえ。リブランド後の立ち上がり1〜2ヶ月の数字で、5月に初めて約2.5万セッションに届いたもの。3月は月900未満。続くかは未知数で、推移をこの記事で公開していく。

Q. AI検索対策はSEOと何が違う? SEOはGoogleで上位に並ぶゲーム、GEOはAIに信頼されて引用されるゲーム。Googleで無名でもAI経由で人が来る状態は、SEOの物差しでは見えない。

Q. 順位ツールで見えないなら何で測る? GA4の参照元とBing Webmaster Tools。Googleの順位だけ見ていると、立ち上がりの主役だったBing・AI経由を丸ごと見落とす。


最後に

「月2万取った」と言い切るのは簡単です。でも実際は、立ち上げてみたら1ヶ月でそこまで跳ねた、というだけ。続くかどうかは、まだ誰にも分かりません。

だから、いい数字も悪い数字も、毎月ここに置いていきます。順位ツールには映らない場所で、何が起きているのか。それを、自分のサイトで、正直に追い続けます。

AL

AIO Lab 主筆

広告運用 × データ分析のマーケター(40代・エンジニア出身)

Meta・Google・TikTok広告のインハウス運用が最も得意。ROAS・CPA起点の高速PDCAで伸ばし、広告と検索(SEO・GEO)の両面から集客を設計します。強みはデータの「見える化」——GA4・BigQuery・日次広告レポートで、数字を判断に変えること。大手予約サービスのマーケ部長を経て、現在はD2Cスタートアップでマーケ/データ責任者。複数の自社メディアを運営し、Bing・AI検索の流入を実データで検証しています。数値はすべて実測、出典のないデータは扱いません。運営者について →

AI検索の実践知

AIに見つかる構造を、実データから設計する。

ChatGPTやBing経由で実際に流入を取った一次データから、AIに見つけられるサイトの条件を発信しています。

実証事例を読む 記事一覧へ