ケーススタディ

SEOツールは『月45訪問・価値11ドル』と言った。実際は月2万人だった

先に結論

Ahrefsで、自社が運営する占いメディア「VEIL」を調べると、こう出ます。

オーガニックキーワード 20/月間オーガニック流入 45/トラフィック価値 約11ドル

数字だけ見れば、ほぼ死んでいるサイトです。月45訪問、広告換算で11ドル。普通なら「やめたほうがいい」と判断する水準でしょう。

ところが、同じ月のGA4はこう言います。

アクティブユーザー 21,656

ツールは45と言い、実測は2万。 桁が3つ違う。これはAhrefsの不具合ではありません。SEOツールが何を見て、何を見ていないのか。その構造を知らずに数字を信じると、判断を間違えます。


ツールが見ているのは、Googleだけ

Ahrefsのような順位・トラフィック推定ツールは、基本的にGoogleの検索結果を観測して数字を作っています。 「このキーワードで何位、だから月にこれくらいの流入」という推定です。

だからGoogleで上位を取っているサイトは正しく評価されます。けれど、VEILのようにGoogleでは平均30〜50位に沈み、流入の柱がBingとAIにあるサイトは、ツールの観測網にほとんど引っかかりません。

VEILのGA4を分解すると、流入の約78%がBing系、約8%がAI検索(ChatGPT・Copilot)でした(4サイトの実測)。ツールが見ているGoogleは、流入の1割もない。 だから「45」と「2万」の差が生まれます。45は嘘ではなく、Googleの中だけなら正しい。残りの大半が、最初から視界の外にあっただけです。


広告型のサイトは、もっと見えない

もう一つ、自社のジュエリーD2Cで同じツールを引いてみました。結果は、オーガニック流入0、キーワード0。

このサイトはMeta広告で売る作りなので、検索流入がそもそも少ない。だからSEOツールには、ほぼ何も映りません。けれどGA4では、毎月1万を超えるセッションが動いています。広告で動いているサイトも、ツールの数字の上では存在しないように見える。

つまりSEOツールの数字は、サイトの実力ではなく「Googleオーガニックでの見え方」だけを切り取ったもの。そこを取り違えると、健康なサイトを「ダメだ」と誤診します。


ツールの数字で、何を判断していいか

整理します。

  • 使っていい場面 … Google検索での順位やキーワードの相対比較、競合がGoogleでどう戦っているか
  • 使ってはいけない場面 … サイト全体の集客力の判断、BingやAI流入の有無、「このサイトは終わっている」という結論

VEILは、ツールの数字なら撤退候補です。でも実測を見れば、月2万人が来て、Bingで右肩上がりに伸びている、生きたサイトでした(Bingで伸びる問いの実測)。判断を救ったのは、ツールではなくGA4とBing Webmaster Toolsでした。


だから、実測に切り替える

AIとBingの流入を見たいなら、見る場所を変えるだけです。

  • GA4の参照元(sessionSource)bing openai chatgpt.com copilot.com perplexity から何セッション来ているか
  • Bing Webmaster Tools … Bingでの表示回数・クリック・順位
  • Bingの AI Performance … AIの回答に自社が引用された回数とURL

どれも無料で、今日見られます。順位ツールの数字が低くて落ち込む前に、まずこの3つを開く。あなたのサイトの本当の入口は、ツールが見ていない場所にあるかもしれません。計測の手順はAI流入をGA4で測るに、全体像はGEO完全リファレンスにまとめてあります。


よくある質問

Q. SEOツールの数字が低ければ、そのサイトはダメ? いいえ。ツールは基本的にGoogleを見ている。BingやAI検索はほとんど映らない。当社サイトはAhrefsで月45訪問だが、GA4実測は月2万人。

Q. トラフィック価値(traffic value)とは? オーガニック流入を広告で買った場合の推定額。Googleのデータが元なので、BingやAIは反映されない。当社は推定11ドルだったが、実流入の大半は視界の外。

Q. では何で実測する? GA4の参照元とBing Webmaster Tools。AI引用回数はBingのAI Performance。順位ツールはGoogle以外をほとんど見ていない。


最後に

「月45訪問、価値11ドル」。その数字を信じていたら、このサイトはとっくに閉じていました。

ツールは嘘をつきません。ただ、Googleの窓からしか外を見ていない。窓の外で、2万人が別の入口から入ってきていた。それに気づけるかどうかは、どの数字を見るかで決まります。

AL

AIO Lab 主筆

広告運用 × データ分析のマーケター(40代・エンジニア出身)

Meta・Google・TikTok広告のインハウス運用が最も得意。ROAS・CPA起点の高速PDCAで伸ばし、広告と検索(SEO・GEO)の両面から集客を設計します。強みはデータの「見える化」——GA4・BigQuery・日次広告レポートで、数字を判断に変えること。大手予約サービスのマーケ部長を経て、現在はD2Cスタートアップでマーケ/データ責任者。複数の自社メディアを運営し、Bing・AI検索の流入を実データで検証しています。数値はすべて実測、出典のないデータは扱いません。運営者について →

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