ケーススタディ
英語ページが1枚もないサイトに、海外30カ国から人が来ていた。AI検索が言語の壁を溶かす
先に結論
SEOもしていない、英語ページも1枚もない。そんな自社の日本語メディアを、国別に実測してみました。出てきた数字に、少し驚きました。
流入の約8%が、海外30カ国から来ていた。 シンガポール、中国、アメリカ、オーストラリア、ドイツ、台湾、インド、ブラジル……。日本語しか置いていないのに、世界中から人が降り立っている。
種を明かすと、これはAIと検索の機械翻訳が起こしていることです。言語の壁が、静かに溶け始めている。多言語GEO(海外向けのAI検索対策)を始める根拠が、自分のサイトの数字に出ていました。実データで見ていきます。期間は2026年5月、すべてGA4の実測です。
日本語だけのサイトに、30カ国
題材は、当社が運営する相撲(大相撲)の情報メディアです。記事はすべて日本語。英語ページはゼロ。海外向けの施策は何もしていません。
それでも、国別の内訳はこうでした。総セッションは約6,100。
| 国 | セッション | 比率 |
|---|---|---|
| 日本 | 約5,600 | 約92% |
| シンガポール | 250 | 約4% |
| 中国 | 102 | 約1.7% |
| アメリカ | 32 | — |
| 豪・独・台・印・比・英・越・伯・尼・韓・仏ほか | 各1〜9 | — |
海外は合わせて約8%、国の数にして30カ国。シンガポールが単独で4%というのも目を引きます。相撲という、いかにも日本ローカルなテーマで、です。
英語の入口を作っていないのに、海外の人がたどり着いている。これは偶然ではなく、検索とAIの側が変わったからでした。
なぜ、日本語ページが海外で読まれるのか
理由は2つあります。
ひとつ、AIと検索エンジンが翻訳しながら情報を扱うようになったこと。英語で「strongest sumo wrestler in history」とAIに聞いたとき、AIは英語ソースだけでなく、日本語の詳しいページも参照して答えをまとめます。元が日本語でも、AIが訳して引用する。だから日本語の一次情報が、海外の問いに当たる。
ふたつ、そのサイトの中身が「答え」の形をしていたこと。このメディアでよく見られているのは、「全勝優勝した力士の一覧」「力士の年齢一覧」「横綱の体重」といった、事実がまとまったページでした。数字や一覧は、言語を越えても意味が通る。AIにとっても訳しやすく、引用しやすい(AIが送るのは答えが出るページ)。
つまり、事実とデータでできた日本語ページは、言語の壁を越えやすい。 感情やニュアンスに寄った文章より、海外にも届く。
ここに、伸びしろが眠っている
見方を変えると、これは未開拓の入口です。
英語化を何もしていない状態で8%。ということは、英語の問いに正面から答えるページを用意すれば、この層はもっと取れる可能性が高い。すでに需要が顔を出しているのだから、当てにいく価値がある。
しかも今、海外でもChatGPTやPerplexityで「○○とは」「○○のおすすめは」と聞く人が増えています。日本のニッチな情報(相撲、観光、食、文化、専門領域)は、英語圏で同じ深さの一次情報が少ない。競合が薄い英語AI検索で、日本発の一次情報が拾われる余地がある。
当社はこのメディアの英語版を、いま作っています。日本語で起きた「AIに見つけられる」を、英語でも再現できるか。その結果は、数字が動いたら改めて公開します。
あなたのサイトでも確かめられる
やることはひとつ。GA4を開いて、国別(country)でセッションを見るだけです。
日本以外が数%でもあれば、そこに潜在需要があります。ゼロでなければ、芽は出ている。次の一手は、その言語の問いに答えるページを用意すること。ただし、機械翻訳を貼り付けるだけでは弱い。hreflangで言語と地域を正しく示し、中身をその言語の問いに合わせて組み直す設計が要ります(多言語サイトのGEO)。
国境は、もう検索結果の中では薄くなっています。気づいて手を打つかどうかだけの差です。
よくある質問
Q. 英語コンテンツがなくても海外から来る? 来る。当社の日本語のみのメディアで、流入の約8%が海外30カ国から。AIや検索の機械翻訳が進み、日本語ページが海外の問いに当たるようになっている。
Q. どの国から来ているか、どう調べる? GA4の「国(country)」で国別セッションを見る。海外比率が数%でもゼロでなければ、その言語圏に潜在需要がある合図。
Q. 多言語GEOは翻訳すれば終わり? 終わらない。機械翻訳の貼り付けはAIに評価されにくい。hreflangで言語・地域を示し、その言語の問いに合わせて中身を組み直す設計が要る。
最後に
英語のページを、1枚も作っていませんでした。それでも、30カ国から人が来ていた。
国境は地図の上にはあっても、検索結果の中ではもう薄い。AIが訳して、運んでくる。気づいたサイトから、その入口を開けていきます。