ケーススタディ

占いサイトだけじゃなかった。予約サイトも「同じ月」にAIから人が来た

先に結論

前に「AI流入はじわじわ来なかった。スイッチのように立ち上がった」と書きました。あれは自社の占いメディア1サイトの話でした。

今回、まったく別業種のサイトで、同じことが起きていたのが分かりました。

自社で運営する宿泊予約系のサイト(占いとは縁もゆかりもない)のGA4を、同じ条件で開いてみたら——AIからの流入が、占いメディアと同じ2026年4月に、同じ形で立ち上がっていた

  • 占いメディア:月1〜4 →(2026年4月)207 →(5月)2,148
  • 宿泊予約サイト:月1〜2 →(4月)183 →(5月)936

業種が違う。中身が違う。運用している人も、打った施策のタイミングも違う。なのに、立ち上がった月が同じ。

これは「うちがSEOを頑張ったから」では説明しきれません。AI検索を使う人そのものが、2026年春に一段増えた。そう考えるほうが、データに合います。実数で並べます。

(数字はすべてGA4の実測値です。AIからの流入とは、ChatGPT・Copilot・Gemini・Perplexityなどを参照元とするセッションを指します。サイト名は伏せ、業種だけ出しています。)


占いメディアの月次:3月までゼロ、4月に点火

まず、前回も扱った占いメディア(コンテンツ型)。AI参照元のセッションを月ごとに数えると、こうでした。

GA4実測 ── コンテンツ型メディア|AI参照元の月次セッション(2025/6〜2026/5・5月を100%基準)
〜2026/3月1〜4
2026/4207
2026/52,148

2025年の夏から冬まで、AIからの流入は月に1〜4。誤差のような数字です。それが2026年4月に207へ跳ね、5月には2,148。半年動かなかったものが、2か月で千の桁に乗りました。

前回はこれを見て「成果は直線ではなくスイッチで来る。初期の停滞でやめるな」と書きました。1サイトの話としては、それで終わりでした。


宿泊予約サイトの月次:同じ月に、同じ形で

問題はここからです。同じGA4の集計を、別業種の宿泊予約サイトでやってみました。占いコンテンツは一文字もない、予約のためのサイトです。

GA4実測 ── 宿泊予約サイト|AI参照元の月次セッション(2025/6〜2026/5・5月を100%基準)
〜2026/3月1〜2
2026/4183
2026/5936

形が、ほぼ同じです。2026年3月まで月1〜2。それが4月に183、5月に936

2つの折れ線を重ねると、立ち上がりの月がぴたりと揃います。

占いメディア宿泊予約サイト
〜2026/3月1〜4月1〜2
2026/4207183
2026/52,148936

規模は違います。占いメディアのほうが量は多い。でも**「いつ動き出したか」が同じ**。別の人間が、別のサイトを、別の業種で運用していて、施策の歴史も違う。それでも同じ2026年4月にスイッチが入った。

サイト単体の事情で、ここまで月が揃うことは、ふつうありません。


なら、全部のサイトが伸びたのか? いいえ

「2026年春にAI検索が増えた」なら、自社の全サイトが伸びたはずでは——と思いますよね。そこも実数で確かめました。

答えはノー。同じ会社で運営している広告中心のD2C(ジュエリー・アパレル)は、同じ4〜5月もAIからの流入がほぼゼロのままでした。直近30日で数えても、ジュエリーD2CはChatGPT経由が数件、アパレルD2Cは0。波が来ても、こちらは乗れていません。

差は何か。前に4サイトを実測した記事で書いた結論が、そのまま効いています。AIに拾われるかは、商材ではなく「コンテンツを持ち、検索に開いているか」

  • 占いメディア=記事が厚く、検索に開いている → 波に乗った
  • 宿泊予約サイト=施設や地域の情報を持ち、検索に開いている → 波に乗った
  • 広告型D2C=商品ページ中心でコンテンツが薄い → 波が来ても乗れない

2026年春、AI検索の利用は一段増えました。けれど増えた波をつかめたのは、つかむ手を用意していたサイトだけだった。これが2サイト+対照群から見えた像です。


つまり「うちはまだ」でも、遅くない

この話の救いは、ここです。

立ち上がりの引き金が「個別サイトのSEOの巧拙」だけなら、出遅れたサイトは追いつくのが大変です。でも引き金の正体がAI検索を使う人の増加なら、話は逆になります。次の波は、また来る。そのとき土台さえできていれば、同じように乗れる。

土台というのは、特別なことではありません。

  1. AIクローラーを受け入れる(robots.txtで締め出していないか)
  2. 商品やサービスの周辺に、問いに答えるコンテンツを持つ
  3. Bingに登録して、AIの裏側のインデックスに入る
  4. GA4でAI流入を測れる状態にしておく(測れないと、波が来ても気づけない)

2026年4月に乗れなかったサイトでも、この4つを整えれば、次に同じことが起きたとき今度はカウントされる側に回れます。


おまけ:その数字、半分こぼしてませんか

最後に、測り方の注意をひとつ。今回の集計でも引っかかった点です。

ChatGPTからの流入は、GA4で「openai」と「chatgpt.com」の2つに分かれて記録されることがあります。今回の宿泊予約サイトの5月も、openaiが751、chatgpt.comが159。片方だけ見ると、本当のChatGPT流入の2割前後を見落とします。

AI流入を数えるときは、参照元を1つずつ見ず、openai・chatgpt.com・copilot.com・gemini.google.com・perplexity をまとめて合算してください。バラバラに見ていると「AIなんて誤差」という誤った結論にたどり着きます。実際は、足すと月900や2,000の桁です。


まとめ

  • AIからの流入は、自社の2サイト(占いメディア・宿泊予約サイト)で、同じ2026年4月に立ち上がった
    • 占いメディア:月1〜4 → 4月207 → 5月2,148
    • 宿泊予約サイト:月1〜2 → 4月183 → 5月936
  • 別業種・別運用なのに月が揃う=個別の努力より、AI検索利用そのものの増加と見るのが自然
  • ただし全サイトが乗ったわけではない。コンテンツが薄い広告型D2Cはゼロのまま。差は商材でなく「コンテンツ×検索接続」
  • 波はまた来る。**土台(AIクローラー許可・コンテンツ・Bing登録・計測)**を整えておけば、次は乗れる
  • 計測の罠:ChatGPT流入は openai と chatgpt.com に割れる。合算しないと過小評価する

AIからの流入が「まだ来ていない」サイトは、来ないのではなく、前の波に乗る準備ができていなかっただけかもしれません。準備の中身は、もう分かっています。


この記事は、当社が運営する2つのサイト(占いメディアと宿泊予約サイト)および広告型D2C 2サイトのGA4実測値(2025年6月〜2026年6月)をもとにしています。サイト名は伏せ、業種のみ記載しました。数値はすべて管理画面の実測です。

AL

AIO Lab 主筆

広告運用 × データ分析のマーケター(40代・エンジニア出身)

Meta・Google・TikTok広告のインハウス運用が最も得意。ROAS・CPA起点の高速PDCAで伸ばし、広告と検索(SEO・GEO)の両面から集客を設計します。強みはデータの「見える化」——GA4・BigQuery・日次広告レポートで、数字を判断に変えること。大手予約サービスのマーケ部長を経て、現在はD2Cスタートアップでマーケ/データ責任者。複数の自社メディアを運営し、Bing・AI検索の流入を実データで検証しています。数値はすべて実測、出典のないデータは扱いません。運営者について →

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